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オリジナルBL小説のHPに付随するブログです。 苦手な人は閲覧をご遠慮ください。
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ひどい小説が書けました!\(^0^)/イェイ♪



本当、textにあげるまでもないものなのでここにのせておきます。
さぁて!卒業制作卒業制作!またねー!(軽やかに撤退)



 





祭のクリスマス

 



 

「祭(まつり)、一つ悲しいしらせがあるんだ。」

 

 突然、殊勝な顔をして祭の部屋に入ってきた政司(せいじ)に祭は目をぱちくりとさせた。首をかしげて政司のその次の言葉を待つ。
「お前、もう高校生だろ?高校生にはサンタさんはもう来ないんだよ。」

「えええええええ!!」
 あまりもの衝撃的事実に祭は大口を開けて驚いた。

 





 思えば、祭とサンタさんの縁はなかなか深いものがある。

 小さい時、サンタさんは祭の元へはやってこなかった。だから、サンタがいるなんて祭は信じていなかった。その頃は父と離婚した母と二人きりで住んでいたが、サンタなんて言葉を出せば母に殴られるような日々だった。「サンタなんて金持ちな親が勝手にあげてるだけなのよ!アンタ、私にプレゼントたかる気!?」そう言われて、あぁだからうちにはサンタがいないんだと理解した。祭の家庭では父がいなくなってからは母が夜の仕事をして働いていて、それがストレスなのか祭にあたっては殴るような毎日だった。

 そんな母がいつの日か薬漬けになっていて、逮捕されてしまい、祭が保護されたのは小学校3年生のときだった。その後、祭は警察に遠い親戚を探し出してもらい、そこに一時は預かられたのだがやっぱりサンタは来なかった。その家には祭と同い年の男の子が一人いたのだが、そちらにはサンタからのクリスマスプレゼントが届いた。けれど祭には届かなかった。

 サンタなんて金持ちな親が勝手にあげてるという母親の言葉は本当だったのだ。

 もはや他人に近いくらい遠い親戚である祭なんてそこの親にとってみれば、クリスマスプレゼントをあげる存在ではなかったようだ。

 その後、そこでの待遇があまりにも不憫だと言って、何故かその家の横に住んでいた政司にひきとられた。当時、政司は社会に出たばかりの若輩者だったが、それでも十分に祭を育てる力は親戚よりはあった。というより、熱意があったのだ。それは祭が小学校5年生の時の話だ。

 そしてその年から祭にとって不可思議な事が起こったのだ。

 政司にひきとられたその年のクリスマスに、サンタさんが来たのだ。しかも手紙付きである。「今までごめんね。10年分のクリスマスプレゼントだよ。」

 祭は驚いて、政司に聞いた。政司は真剣な様子でその手紙を見て、「かわいそうに。今までお前、サンタの名簿に名前漏れしていたんだ。こりゃサンタ業界での不祥事だな。プレゼントもらって内密にすませてあげておけ。」と言った。

 驚いて、そうだったのか!と納得した祭は政司に言われたとおり内緒にしておいてあげることにした。サンタの業界なんてものがあるなんて初めて聞いたが、そのことで事を大きくしてしまえばもうサンタさんが業界にいられなくなるかもしれない。それでは世の中の子供たちが可哀想である。

 祭がサンタのくれた大きな袋の包装を解くと、今まで買ってもらったことのなかったようなおもちゃがたくさん並んでいた。今の時代、ゲームを持っていないと友達と話もろくにできない。しかももらったプレゼントの中にはまだ発売されたばかりのようなものもたくさんあった。他の子たちが羨むのは目に見えていた。

10年分だからな。サンタも奮発したんじゃないか?」

 政司の言葉に祭は頬を赤くして頷いた。サンタさんはいたんだ。ちゃんと祭のことを忘れていなかった。

 考えてみれば、その年は祭にとって良い事づくしの年だった。

 殴ったり意地悪を言わない政司にひきとられて、めいっぱい優しくしてもらえた。サンタさんが初めて来てくれた。一緒に政司がクリスマスを祝ってくれた。ケーキも食べた。今まで一番の年だ。

 

 


 それから祭も大きくなり、高校生となった。小さい頃はろくなものを食べさせてもらっていなかったから発育不良で身長も伸びず痩せていたのも、今では普通並よりちょっと小さいくらいには成長できた。

 あれから何も悪い事は覚えていない。勉強もたくさんしている。学校もちゃんと休まず行っている。たまに政司の手伝いもしている。

「僕、ちゃんといい子にしてるのに……。」

「仕方ない。サンタ業界のルールなんだよ。高校生にはプレゼントはあげないんだ。」

「そうなんだ。」

 政司に諭されて、祭はシュンと項垂れてしまった。

「……だが、世の中には抜け道と言うものあるものだ。」

 政司の言葉に顔を上げると、政司は少しあくどい笑い方で微笑んでいた。いまや有名弁護士である政司は時々こんな顔をして、客と接していることがある。頼もしい半分、敵に回したら怖い。

「なに?」

「サンタに直談判するんだ。」

「直談判?」

「前もって手紙送ってサンタに特別にクリスマスの夜に来てもらうんだ。で、お前がサンタに直接お願いするんだよ。プレゼントくれって。」

「直接お願い?」

「そうだ。」

 政司は物知りである。祭が何を答えてもすぐに返事を返してくれる。学校の勉強は全部政司がみてくれるのだ。政司に答えられない問題はない。その政司がそんなことを言うのだから祭は何も疑わなかった。

「どうやるの、それ?」

 祭の純粋な瞳を見て政司は心の中でひっそりとほくそえんだ。その表情にもちろん祭が気付く事は無かった。

 

 




 クリスマスの夜。

 祭は政司に言われた通りのことをした。

 まず、お風呂に入る。体を丹念に洗う。いつものボディソープで体中からシャボンの香りがするようにごしごし洗う。これはサンタの機嫌を損ねないためらしい。くさい子供はサンタを失望させる。

 部屋の中にはクリスマスソングを小さくbgmで流して、素敵なお香の香り。心をやすらげるラベンダーの香りだ。

 そして祭は何も着ない。裸同然だ。これは武器も何も持っていないという意思表示らしい。日本は銃刀法違反があるが、サンタはそんなの知らない。しかも世界中を飛び回っているわけだから、武器を持っているかも!とすぐに疑ってしまうらしい。そんなわけで裸は当然だ、と政司は言った。

 そしてリボン。もしかしてサンタがプレゼントをくれると言い出したときに包装紙が無いのではサンタのプライドが許さないとか、なんとか。しかもあらかじめ用意しておくのはあざといとかなんとかこうたらで。

 首かざりを装った赤いリボン。政司曰くこれが一番らしい。サンタがいざ「リボンが必要だ!」って時に「あら、僕の首に巻いてあるものが偶然使えるかしらん。」と言う感じらしい。

 極めつけはおねだりの科白だ。サンタが部屋に入ってきたら、その袖を掴み、上目遣いで見上げて「(クリスマスプレゼントが)好きなの。お願い?」と言えばオールオッケーということだ。


 ……うん。政司の言う事は間違いない!

 間違いないのだー!

 

 

 祭がリボンが上手に結べないと政司の元に行くと、政司はとてもニコニコした表情で綺麗に結んでいくれた。

「変じゃない?変じゃない?」

 そう言う祭はまだ服を着たままである。政司は「素敵だよ。」と答えた。とろけるような笑みだったが祭は気付いていなかった。

 祭が部屋の中で政司に言われた事を実行している中、政司は違うことで頭がいっぱいだ。今夜見れる祭の柔肌だったり、祭のあられもない姿だったり…。それらの妄想だけでも政司にとってはありがたいクリスマスプレゼントのようなものだった。


「……もう五年近くも待ったんだからいいだろ。」


 小さく呟いた一言は祭の耳には届いていない。

 

 

 さて、その夜、赤い服を着た腹黒サンタがさぁ喰えと言わんばかりに三つ指ついて待っていた良い子をどうしてしまったかは、誰にも分からない。




 サンタと祭だけの秘密である。

 

 

 




おわり





変態腹黒サンタ×純粋おバカのお話でした。\(^0^)/
このシチュエーションならエロだろ!って感じなのにエロは一切無しという横暴。へへん、すんません。

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